女性特有のがんである子宮頸がんを早期発見するために、子宮頸がん検診の受診が奨励されています。
欧米では80％以上の女性が検診を受けていますが、日本の20歳代では30％未満しか受診していません。

本記事では、子宮頸がん検診の推奨年齢や検診の流れについて解説します。

参考：厚生労働省「がん検診ってなに？」

子宮頸がんとは？

子宮頸がん（けいがん）とは、子宮の入り口（子宮頸部）に発生する女性特有のがんです。
ヒトパピローマウイルス（HPV）に感染することで発症します。

80％以上の女性が1度は感染し、ほとんどの人がウイルスを自然に排除します。しかし、10％程度の方は持続的にウイルスに感染し、子宮頸がんを発症するといわれています。

子宮頸がんでは、ごく初期のがんを除いて子宮全摘手術が実施されます。そのために妊娠・出産ができなくなるだけでなく、排尿障害などの後遺症が残ることもあります。ごく初期の段階で発見することで、患部のみを手術で取り除き、子宮を温存できます。

子宮頸がん健診が推奨される年齢は？

子宮頸がんは初期段階では自覚症状が現れないことが多く、早期発見するためには子宮頸がん検診が有効であるとされています。HPVの検査も同時に受けることをおすすめします。

過去20年間を見ると、子宮頸がんと診断される人が20〜30歳代で急増しています。そのため、子宮頸がん検診は20歳から受けることが推奨されています。また、宮城県では20歳から39歳までは年1回。40歳以上は過去3年間続けて異常がなければ、次回からは2年に1回の検診を推奨しています。

参考：仙台市「がん検診」
参考：厚生労働省「がん検診ってなに？」

子宮頸がん検診の流れ

子宮頸がんの検診は、問診・視診・内診を実施します。ここからは、子宮がん検診の流れについて解説します。

①問診

問診表では、主に以下の内容について質問します。

・　初潮の年齢
・　最終月経
・　月経日数
・　月経周期
・　不正出血の有無
・　妊娠出産経験の有無
・　子宮がん検診受診状況
・　子宮頸がんでの通院歴

初潮の年齢や最終月経などは、すぐに思い出せないことがあるため、あらかじめメモを持って行くとよいでしょう。問診票に記入した後に、診察室で医師からの質問に答えます。

②視診・内診

視診では腟を広げるための器具クスコ（腟鏡）を使用して、子宮頸部を確認します。また、内診では子宮・卵巣などの状態を確認します。経腟超音波検査を行なうこともあります。

さらに、細胞診は細胞採取専用のヘラやブラシを用いて子宮頸部の細胞をこすり取り、顕微鏡で検査します。この細胞採取では痛みはほとんどありません。

内診や細胞診を実施するため、検査日当日に月経を迎えた方は検査日を変更していただくことが望ましいです。。

③検診結果

子宮頸がん検診の結果は1か月以内に郵送、もしくは受診して医師から受け取ります。検診結果通知書には「異常なし」または「要精密検査」のどちらかが記入されています。

異常なしと書かれていた方は、精密検査を受ける必要はありません。しかし、引き続き2年に1回の割合で子宮頸がん検診を定期的に受診してください。

およそ2％程度の方は要精密検査と判定されるといわれています。要精密検査と記入されていた方は、精密検査が可能な医療機関の受診が必要です。精密検査ではコルポスコープ（腟拡大鏡）を使用した子宮腟部の観察と、切除鉗子での組織採取・病理検査を行います。

まとめ

子宮頸がんは早期発見できれば、治療しやすく子宮の温存が可能です。初期段階で自覚症状を感じることは少ないため、早期にがんを発見し、早期に治療を開始するには子宮頸がん検診を定期的に受けましょう。

当院は仙台市子宮頸がん検診の登録医療機関であるため、仙台市国民健康保険に加入されている20歳以上の方は子宮頸がん検診を自己負担金無料で受けていただけます。子宮頸がん検診を受けることはがんの早期発見につながります。20歳を過ぎたら、定期的に子宮頸がん検診を受けましょう。