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女性のためのお役立ちコラム

Column

子宮頸がんは早期発見が大切。病期や早期治療について解説

子宮頸がんは、検診を受けて早期発見をすることで適切に治療できるがんです。今回は、子宮頸がんにおける病期ごとの特徴や症状、治療法を紹介します。
また、子宮頸がんの前段階である「子宮頸部上皮内腫瘍」について、その特徴も解説するため、ぜひ目を通してください。
定期的な検診で、がんの早期発見を目指しましょう。

子宮がんについて

子宮がんは、「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分けられます。それぞれ、がんの発症する場所が違います。
それぞれの特徴と違いを解説します。

子宮頸がんとは

子宮頸がんとは、子宮の入り口(頸部)にできるがんです。子宮頸がん検診で早期発見が可能ながんで、国や自治団体も定期的な検診を推進しています。がんが進行すると、治療法が減ってしまうため、早期発見が重要です。症状の特徴としては、不正出血や織物の異常が挙げられるがんです。早期の自覚症状はほとんどありません。
がんになる前の状態が数年あるため、その時期に見つけることで早期治療が可能です。

子宮体がんとは

子宮体がんとは、子宮内部(内膜)にできるがんです。卵胞ホルモンの影響を受けて発生します。子宮内膜がんと呼ばれることもあります。
症状は、おりものに血が混ざる・お腹が張るなどです。初期の自覚症状はほとんどありません。卵胞ホルモンの数値が高い方は、子宮体がんになるリスクが上がります。治療方法は、摘出手術を行うことになります。
子宮体がんの検査も子宮頸がんと同じように、定期的な検診で早期発見が可能です。

女性のがん疾患数第5位

2019年に発表された女性のがん疾患数のランキングによると、1位は乳がん・2位大腸がん・3位肺がん・4位胃がんと発表されました。子宮頸がんは第5位に入っています。
しかし、2021年に発表されたがんの死亡数ランキングを見ると、1〜5位に子宮頸がんは含まれていません。
定期的な検診を行うことで早期発見、治療ができるがんであることも分かります。
初期に自覚症状があるがんではないため、違和感のない方も検診を受けることが大切です。

子宮頸がんの病期分類

子宮頸がんの病期について、解説します。子宮頸がんの病期は、がんの範囲によって定められています。
治療が始まる前に現在の病期によって治療方法が選択されます。

Ⅰ期

Ⅰ期は、病理組織検査で発見できるレベル〜がんの大きさが4cmを超える大きさまでの時期を指します。

● ⅠA期:肉眼では病変が指摘できない
● ⅠA1期:浸潤の深さが3mm以内
● ⅠA2期:浸潤の深さが3mm以上5mm以内
● ⅠB期:肉眼で病変が指摘できる
● ⅠB1期:がんの大きさが2cm以下
● ⅠB2期:がんの大きさが2cmを超えるが4cm以下
● ⅠB3期:がんの大きさが4cmを超えるもの

以上のように分けられます。
がんの範囲が子宮頸部に限定されている時期です。ただし、他の場所にがんが転移している場合もあります。
治療方法としては、レーザーを用いてがんを切り取る円錐切除術や、子宮のみを摘出する単純子宮全摘術が挙げられます。

Ⅱ期

Ⅱ期は、がんの範囲が腟壁下3分の1には達していない状態からがんが骨盤壁には達していない状態を指します。がんの範囲が広がるため、その分治療箇所も増える段階です。ただし、がんの進展が高度ではない時期です。

● ⅡA期:腟壁上部2/3に限局し、子宮傍結合組織に進んでいない
●  ⅡA1期:がんの大きさが4cm以内
●  ⅡA2期:がんの大きさが4cm以上
● ⅡB期:子宮傍組織にもがんが広がるが骨盤壁までは達していない

以上に分けられる病期です。
治療法としては、広汎子宮全摘術・放射線療法・化学放射線同時療法などが挙げられます。

Ⅲ期

Ⅲ期は、がんが子宮傍組織にも広がり、進行スピードも高度である状態です。がんが骨盤壁や腟壁下3分の1まで達しています。

● ⅢA期:腟の外陰側3分の1部分までがんが進展している
● ⅢB期:骨盤壁まで進展している
● ⅢC期:骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節に転移が認められるもの

以上の時期に分かれます。不正出血や骨盤の痛み、おりものの異常などの症状も見られる段階です。
治療法としては、放射線療法や化学放射線同時療法が行われる病期です。

Ⅳ期

Ⅳ期は、がんが子宮や腟を超えて膀胱・直腸に進展している段階です。肺や肝臓に遠隔転移する場合もあります。症状としては、多量出血や骨盤の痛み・足のむくみ・血尿や血便が挙げられます。
放射線治療や化学療法を用いた治療を行います。ただし、がんの転移場所やその数によって治療法が異なります。がんが進行しているため、治療に時間がかかる可能性も高い病期です。

子宮頸部上皮内腫瘍(子宮頸部異形成)とは

子宮頸部上皮内腫瘍とは、子宮頸がんの前段階と呼ばれている段階です。軽度異形成、中等度異形成、高度異形成、上皮内がんなどの種類に分かれます。20歳代〜30歳代の女性に増えている腫瘍です。

子宮頸部上皮内腫瘍は自覚症状がほとんどありません。そのため、自覚症状が出てきた段階では、子宮頸がんに進展していることが多くあります。
子宮頸がんは子宮頸がん検診(細胞診)で、早期発見が可能な腫瘍です。
もし、検診で子宮頸部上皮内腫瘍と診断された方は、放置せずに病院で治療を受けましょう。

早期治療は進歩している

子宮頸がんの早期治療は、日々進歩しています。治療方法の進歩や適切な治療法の開発・発見のおかげでより適切にがんと向き合えます。早期治療法を知って、定期検診の重要性を知りましょう。

2年に1回子宮頸がん検診を受けましょう

子宮頸がん検診は2年に1回の受診をおすすめします。子宮頸がん検診では、細胞診検査を行います。子宮頸部を専用の器具で擦って細胞を採取し、顕微鏡で細胞を調べる方法です。
HPVワクチンの接種も大切です。ワクチンでは60~90%程度がんを予防できるといわれています。しかし100%ではないのでワクチンを打っている方でも定期的に検診を受けましょう。
定期検診を受けることで、がんだけではなく子宮頸部上皮内腫瘍を見つけられます。
早期発見は、体の負担を少なくして治療ができます。

子宮頸部上皮内腫瘍を治療できる

繰り返しますが子宮頸部上皮内腫瘍は、その段階によって軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)に分けられます。CIN1と2は、必ず治療する段階ではなく、経過観察が行われる状態です。CIN3の段階までくると、積極的に治療を行います。
もし、子宮頸部上皮内腫瘍があると診断された場合は、3か月〜半年ごとに検診を受けて経過の観察を行います。1年以上放置すると子宮頸がんに進展する可能性もあるため、短期間の検診が必要です。
CIN3と診断された、腫瘍が進展してきた場合は、円錐切除術やレーザー蒸散術で治療することもあります。

早期発見で低侵襲な手術ができる

近年は、がんの治療において可能な限り子宮を残す、また体の傷を小さくするために研究が進められています。
早期発見できると、お腹を切る手術での治療ではなく、内視鏡下手術が選択肢として挙げられます。
内視鏡手術の治療は、傷が小さく回復も早いため、体の負担が少ない治療法です。がんが進行して子宮全体や周辺臓器への転移が見られる場合は、お腹を切って手術をしなければいけません。
定期的な検診を受けることで、早期に低侵襲な治療が可能です。

放射線治療は進歩している

子宮頸がんの治療は、手術だけではなく放射線治療も進められています。従来であれば、摘出手術と放射線治療をしていた病期もありました。しかし、現在はそのような病期であったとしても放射線治療のみで治療も行われます。
例えば、IIB期の患者に対して、これまでは手術と放射線治療の療法を行うことも多くありました。しかし、この治療法だと、手術と放射線治療の後遺症が出ます。少しでも患者の負担を減らすために放射線治療のみで対応する病院も増えています。

まとめ

がんは、誰でも発症する可能性があります。特に、子宮頸がんは初期には症状がほとんどないため、自覚症状が出た後に受診するとがんが進行していることが多くあります。
子宮頸がんを早期発見するために、2年に1回子宮頸がん検診をしましょう。子宮頸がんの前段階で治療できる可能性もあります。
長池産婦人科では、子宮頸がん検診をおすすめしています。「最近検診に行っていないな」と思われた方は、ぜひ一度お問い合わせください。