院長紹介
院長 長池 文康
- 昭和43年
- 宮城県仙台第一高等学校卒業
- 昭和50年
-
東京慈恵会医科大学卒業
東北大学医学部産婦人科で研修
- 昭和51年
- 公立岩瀬病院医員
- 昭和52年
- 東京慈恵会医科大学麻酔科助手(麻酔科標榜医)
- 昭和53年~57年
-
東北大学医学部医員、助手
体外受精の臨床研究にて医学博士取得
- 昭和58年~59年
- ハワイ大学医学部解剖・生殖生理学教室研究員
- 昭和59年10月
-
水沢市国保総合水沢病院産婦人科長
東北大学医学部産婦人科非常勤講師
- 昭和61年2月
- 長池産婦人科副院長
- 平成 9年10月
- 長池産婦人科院長就任
- 平成10年4月
~平成20年3月 - 日本産婦人科医会宮城県支部常任理事
病院理念
女性のからだは、その生涯の中でドラマチックに変化します。
これまで当院では、その過程で起こる様々なからだと心のトラブルや悩みに向き合い、また新しい生命の誕生に喜びをともにしてきました。
これからも、一人でも多くの女性が自分らしく、女性としての性を豊かに生きるために、広くリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖における健康と権利)の実現をめざしてまいります。
リプロダクティブヘルス/ライツとは (長池博子 記)
リプロダクティブヘルス/ライツという言葉は、周知度が低く未だ十分に理解されていません。
1994年、国連の人口開発会議がカイロで開催されたときから用いられていますが、わかりやすく訳すと「家族計画・母子保健・思春期保健を含む生涯を通じた性と生殖に関する健康」という意味になります。
舌を噛みそうに長くて覚えにくいので、通常私達は「リプロ・ヘルス」と略しています。
性は生まれたときから決められており、選ぶことはできません。男性は妊娠させる性、女性は妊娠して生む性でありますが、従来日本では母子保健は重要視され発展してきましたが、性に関してはタブー視されてきました。
そのために「性」についての知識はほとんど興味本位なマスコミや、友達から得ている状況で、成長発育にふさわしく、また正しくは教えられていなかったのが実情です。
子供から老人に至るまで性的感情をもつことは当たり前のことなのです。私は長く思春期保健に関わってきましたが、10代の望まない妊娠ほど、心が痛む問題はありません。また、最近は性感染症が若い世代に増えています。日本を担う若者たちのリプロ・ヘルスに大人たちは目を向けて、もっと真剣に取り組まなければなりません。
「生命の誕生」は男女共同参画の一大事業です。男女のコミュニケーションなしにはできないことです。行為以前に、心のコミュニケーションが大切であり、相手をいとおしいと思う気持ちがなければ、子供に対する愛情も湧かないでしょう。今や「性」は隠されたものであり、即、生殖である時代はなくなり、一般的に楽しさを享楽することも性の側面と考えられるようになってきました。(これは、妊娠不可能な高齢になっても、性は否定されるべきではないからです)
しかし、生殖、即ち妊娠することは、男女の同等の責任であるべきで、その為に正しい性の知識が必要なのです。新聞に、「中高生の7割近くが『同年代の女子が見知らぬ人とセックスすること』を容認していることが、警察庁の青少年問題調査研究会の意識調査でわかった」という記事が載っていました。
実際、臨床の場でも知らない男女が、メールで知り合い、初めて会って、即、セックス、妊娠してしまったという症例は枚挙にいとまがありません。これも、男性は性行動に無責任であり(都合が悪ければ逃げられる)、女性は妊娠したら逃げられないことをわかっていないのです。
妊娠して初めて、騙された、困ったということになるのです。
リプロ・ヘルスは、妊娠から逃げられない女性の生涯健康を保持することが重要であるという世界的共通概念なのです。
リプロ・ヘルスの世界的概念は現在病気であるかないかは別として、人々が安全で安心な性生活を営むことができ(性感染症の不安なしに)、生殖能力を持ち、子供を産むか産まないか、産むとすればいつ産むか、何人産むか、出産間隔などを自己決定できることです。それを経済的にも無理なく実行できるということが、本来の家族計画です。リプロ・ヘルスはそのための避妊などの必要な知識、情報の提供も含まれています。
生殖作用(リプロダクション)即ち妊娠は、男性にも責任のあることですが、妊娠するのは女性であり、出産・授乳も女性特有の機能です。したがって、女性特有の臓器があるために男性とは異なる健康上の問題に直面することがあるのです。
思春期には初経があり、その後は毎月の月経についてのトラブル、胎児を育てる子宮には、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮がんの発生、乳がんの問題などがおこってきます。また、男性と五分五分のセックスであっても、望まない妊娠で人工妊娠中絶にいたれば、身体も心も傷つきます。
したがって、リプロ・ヘルスは、性の問題、思春期の問題、妊娠、出産、中絶、避妊、不妊、性感染症、更年期障害など、女性の生涯にわたる健康の問題ということができるのです。
従来日本では、女性の健康は母子保健の面からのみ考え、女性自身の生涯の健康保持という配慮が欠けていました。家族計画も、強制や暴力を受けることなく男女が対等な関係で性生活を営む権利とは考えていませんでした。
したがって、リプロ・ヘルスとライツは、女性の基本的な問題であると言わざるを得ません。
今、我が国では予想を上回る少子化が大きな問題になっています。女性のライフスタイルは、その多様化により、社会進出は止められません。結婚してはじめて性交を公認された時代の性はイコール生殖で、妊娠しても子供を産んでも、育児も結婚という公認の枠の中で、孤独ではありませんでした。個人中心の現代社会では、妊娠・出産・育児を支援する環境整備が緊急に求められています。
リプロ・ヘルスを正しく理解して、男女が対等な立場でコミュニケーションとれるようになることが、女性問題のみならず、社会問題解決の活性化のキーになると考えています。
沿革
大正15年(1926) | 長池文(ふみ)歯科医院開業 |
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昭和20年7月(1945) | 仙台空襲で全焼 |
昭和26年9月(1951) | 名誉院長 長池博子 長池産婦人科を開業(歯科医院に隣接) |
昭和28年(1953) | 長池文歯科医院閉院 |
昭和48年3月(1973) | 長池優生保護相談所開設(厚生大臣認可) |
昭和61年2月(1986) | 長男文康(現院長)副医院長に就任 |
昭和62年10月(1987) | 新医院竣工 |
平成6年(1994) | 社会福祉事業第64条第1項による養子斡旋事業(エンゼル支援センター)開始 〈現在は休止中です〉 |
平成8年(1995) | 「優生保護法」が改正され「母体保護法」となる。改正に伴い相談所の名称を「長池女性健康相談所」に変更 |
平成9年10月(1996) | 副院長文康 院長に就任、博子院長は、「長池女性健康相談所」所長に就任 |
平成12年1月(2000) | 相談所の組織変更 |
平成14年3月(2002) | 相談所を相談室に変更、前院長は名誉院長に就任 |
平成23年1月(2011) | 名誉院長 退任 |